オーツの妻がパンを買いに行きました。近所に手作りパンの店(「ブラウニー」といいます)があり、おいしいのです。妻はよくここでパンを買います。今回は、食パンを6斤買うという話でした。
ところが、パン屋にあいにく十分な在庫量がなく、パンを焼き上げた後に配達してくれることになりました。すでにその分の代金は妻が支払ってあります。配達は夜になるという話でした。妻は、夜まで出かけているということでしたので、オーツが受け取ることになりました。単にパンを受け取るだけの話です。
さて、夜になって、オーツが自宅でテレビを見ていると、玄関の呼び鈴を押す人がいました。ピンポーンという音が響き、オーツがインターホンに出ると、「パン屋のブラウニーです。パンの配達ですが、今から数分後にお届けに上がります。よろしいでしょうか。」というようなことを言ったのです。
オーツには珍しい経験でした。
夜に配達するということになれば、宅配便でもデパートでも郵便局でも酒屋でもネットスーパーでも、いきなり品物を持ってくるものです。ピンポーンは1回だけです。ところが、このパン屋さんは一度ようすを見に来た上で(家人の在宅を確認し)、再度実際の配達に来るという二度手間をかけたのです。
なぜ、こんなことをするのでしょうか。
パンが焼きたてで、その焼きたての味を楽しんでもらうためには、在宅を確認してから配達するほうがいいということなんでしょうか。しかし、パンを買ったからといって、配達されたらすぐに食べるとは限りません。特に、今回のように6斤もあったら、一度に食べるなんて考えにくいものです。大がかりなパーティーでもあってたくさんの客が来ている場合であれば話は別ですが。
配達先が近所だということも関係しているでしょう。実際の配達までに一度店に戻っても、大した手間ではありません。しかし、宅配便などは営業所までかなり時間がかかります。だから、荷物をクルマなどで運びながら配達するわけです。
たぶん、このパン屋さんの配達はいつもこうやっているのでしょう。宅配便・デパート・郵便局・酒屋は、鮮度とは無関係です。ネットスーパーは配達する品物によるかもしれません。パンは(少なくともブラウニーのパンは)そういうものではないということです。
鮮度を重視する配達をしているパン屋さんですから、味にこだわっているようすがわかります。丁寧な仕事をしているということです。
今回の珍しい経験から、このパン屋さんに対する信頼感がさらに上がりました。
もっとも、オーツは、テレビ視聴が2度も中断されてしまったので、この配達方法には必ずしも賛成ではないのですが。