2014年11月16日

崔基鎬(2007.7)『歴史再検証 日韓併合』祥伝社

 オーツが読んだ本です。「韓民族を救った「日帝36年」の真実」という副題が付いています。
 副題を見ればわかるように、日韓併合のプラス面を記述しています。もちろん、マイナス面も書かれていますが、全体としてみればプラス面が多かったということです。
 著者の崔基鎬(チェ・ケイホ)氏は、1923年生まれだそうです。相当な高齢の方ですが、経歴を見ると、巣鴨高校卒、韓国・東国大学大学院、ソウル大学付属司法大学院修了ということで、日韓両国を行き来してきた人のようです。
 現在は、加耶大学客員教授だそうです。加耶大学というのは韓国の大学です。しかし、裏表紙の裏には「現在、東京在住」とあります。韓国で勤務しながら東京在住というのは、著者がどういう勤務形態をしているのか、理解しかねます。
 副題からもわかるように、この本は、日韓併合を基本的に「よいもの」として描いています。
 もちろん、今の韓国政府のように、「悪いもの」と見る見方もあるわけですが、実際のところは、いい面も悪い面もあったというあたりではないかと思います。
 本書は、随所に表が掲載されており、数値で過去の実態を表そうとしています。統計資料は朝鮮総督府の作成したものが多数使われています。まあ、客観的な数値だろうと思いますが、こういう数値を現在の韓国政府はどう見るのでしょうか。
 歴史認識の問題はなかなかむずかしいですが、そういう議論の基になる「事実」について合意ができるならば、それに基づいた議論ができそうに思うのですが。それとも、韓国政府はこれらの数値を否定するのでしょうか。否定するなら、代わりに、では実態としてどうだったのかを示す必要があると思いますが、そういう資料があるのでしょうか。どうもなさそうに思えます。
 本書の内容は、以下のようです。
 序章「李完用と伊藤博文」では、朝鮮では歳入の3分の2を日本政府の持ち出しでまかなったことや併合時代に人口が倍増したことをあげ、初代統監・伊藤博文の功績を述べます。
 1章「なぜ、歴史の真実に目を向けないのか」では、韓国歴史教科書のウソ、デタラメについて総合的に述べます。
 2章「併合時代の歴史的真実」では、日本が朝鮮半島で行ったことを、データをあげながら順次記述します。教育制度、道路、鉄道、物流、金融組織、資金の斡旋、技術改革、土地調査事業、治山治水事業、水力発電所の建設など、朝鮮のあらゆる側面での大変化がなされたわけです。逆に言えば、それまでの李朝朝鮮が何もしてこなかったというわけですが。
 3章「李朝時代へ退行する北朝鮮・韓国」では、いくつかのエピソードから北朝鮮や韓国の姿を描きます。
 4章「併合で生き返った朝鮮経済」では、貿易や消費、紡績・金属・化学工業などの経済活動を見ていきます。ここでも、データをあげながら、朝鮮の変化を記述しています。
 5章「「日韓併合」とは何だったのか」では、著者の解釈・主張がメインです。特におもしろかったのは、終戦間際の日本の不手際が「反日」を招いたという指摘や、洪思翊(こうしよく)中将のように日本の軍人として戦った韓国人戦犯の話です。韓国人名のままで軍人になった人がいることから、創氏改名は強制でなかったこともわかります。
 終章「韓国に新たな国難が迫り来る」は最近の韓国の大統領たちの犯罪行為などを描きます。併合時代は、逆に不正腐敗がなかったとしていますが、まあ実際には完全になかったというよりは、一部にはあったことでしょう。
 ともあれ、本書を読むと、今の韓国政府の反日政策を嫌う人たちが何を考えているのか、それは何によるものかが理解できます。

 ところで、こんな本は、韓国で(ハングルで)出版できるでしょうか。たちまち、出版禁止になってしまいそうです。著者も投獄されるでしょう。そうです。韓国は言論の自由のない国なのです。これは本当に残念な話です。これでは日韓の共通理解などは今後もできそうにありません。

 ネットを見たら、本書に大反対の議論がブログにありました。
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20090205/1233850631
 オーツの意見としては、本書を一読した限りですが、本書はそれなりに説得力があるように思いました。



 オーツが読んだのは単行本ですが、今は、以下のような文庫本も出ています。たぶん内容は同じでしょう。


ラベル:崔基鎬 日韓併合
posted by オーツ at 03:59| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする