2014年05月22日

北村淳(2012.12)『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社新書)宝島社

 オーツが読んだ本です。
 著者は「アメリカ海軍アドバイザー」だそうです。まあ軍事専門家といったところでしょうか。
 序章は「戦わずして自衛隊に勝つ中国人民解放軍」ということで、尖閣占領などということは起こらないと説きます。むしろ、ミサイル攻撃のほうが有効だし、そもそも、実際に攻撃する前に「恫喝」してそれで目的を達成すれば十分なので、中国軍と自衛隊の戦いなんてそもそもないという話です。
 第1章「中国「第二砲兵隊」による弾道ミサイル攻撃の脅威」では、中国のミサイル攻撃の特徴を描きます。日本は弾道ミサイルを防ぐことができないということです。ミサイル防衛なんて絵に描いた餅です。
 第2章「空自が追尾しきれない長距離巡航ミサイル攻撃の脅威」では、弾道ミサイルが防げないだけでなく、長距離ミサイルでも防げないということが描かれます。中国の配備数が多く、日本の監視網は薄く、迎撃用の戦闘機の数も足りないということです。
 第3章「中国本土上空から攻撃するミサイル爆撃機の脅威」では、何も中国軍が日本まで攻めてくる必要すらなく、爆撃機がちょいと飛び立って、日本に向けてミサイルを発射すれば、それで航空自衛隊の戦力は無に帰してしまうということです。
 第4章「攻撃原潜から発射される長距離巡航ミサイルの脅威」では、こういう攻撃パターンもありうるということで潜水艦からのミサイル攻撃が描かれます。これまた防御不可能です。
 第5章「尖閣諸島獲得のための「宮古島占領」」は、尖閣諸島を中国が手に入れるためには、尖閣諸島を占領するのでなく、むしろ宮古島を占領するという戦略があるという話です。ちょっと驚きの想定ですが、本書を読むと、まったくないともいえないように思えてきます。
 第6章「中国の軍事的恫喝に屈しないために」では、日本が報復的抑止力を持つことが必要だと説きます。トマホークミサイルを海自の艦艇に装備しておき、いざとなったら報復措置が執れるようにするというわけです。
 第7章「“国亡戦略”から“国防戦略”へ」では、どういう戦略で国防を考えるべきかが議論されます。「専守防衛」では不十分であり、「引きこもり戦略」か「殴り込み戦略」か「海洋出撃戦略」のどれがいいか、事前に検討しておくべきだとしています。現在の日本政府は「引きこもり戦略」をとろうとしているようですが、島嶼国家は「引きこもり戦略」をとるべきではないとしています。
 というわけで、日本の防衛方針や自衛隊の現在の装備などを軍事的観点から見るならば、中国軍の圧倒的勝利になる可能性が高いということです。
 オーツは、表題に引かれて読んでみましたが、政治・外交的観点から書いてあるのかと思っていましたが、そうではなく、軍事的観点で一貫して描かれており、ずいぶん違った目を持てるようになりました。


posted by オーツ at 04:33| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする