2014年01月25日

飯田泰之・荻上チキ(2013.9)『夜の経済学』扶桑社

 オーツが読んだ本です。二人の共著ですが、本の表紙や奥付などは、著者名が「荻上チキ・飯田泰之」の順で書かれています。しかし、背表紙は飯田・荻上です。図書館で整理するときなどはちょっと困るでしょうね。
 ここでは、奥付のところの (C) の著作権者の表示にしたがって、飯田・荻上としておきました。
 目次は以下の通りです。
第1章 フーゾク業界を経済分析
第2章 個人売春(ワリキリ)を市場調査
第3章 夜のマーケットの需要と供給
第4章 「幸福な若者たち」って誰のこと?
第5章 ニッポン社会的排除白書
第6章 流言とデマの経済学
第7章 アダルトメディアの夜明け

 こうやって目次を見ると、いかにもキワモノが並んでいるようです。しかし、中身は大まじめで、このようなものごとについて論じていきます。
 本書は、「週刊SPA!」誌上での連載「週刊チキーーダ!〜飯田泰之・荻上チキのヤバい研究報告書」の企画で収集したデータとその分析をもとに書かれています。したがって、データが豊富で、読むに耐える力作になっています。
 いろいろとおもしろい話が出てきますが、その具体例は本書を読んでもらうことにして、ここでは一つだけ「夜の経済学」の例をあげておきます。第3章の p.120 あたりですが、買春する側の男性を調査した結果、フーゾクに行く男性よりも、ワリキリを利用する男性の方が低学歴だということです。だから何だと聞かれると、ちょっと困るのですが、利用者層がこのようにずれているというのは、オーツの知らなかった世界の一面でした。
 こういうことを知るために、どうやってデータを集めるのでしょうか。フーゾクの方は別の調査を引用しています。ワリキリの方はオリジナルデータです。実は、ワリキリをしている女性に頼んで、「あなたを買った男性についてデータを集めてほしい」ということを調査するのです。なかなか思いつかない調査法です。もちろん、完全に信頼できる調査ではありませんが、他の方法で男性側の調査が行えるはずもありません。ここに示したような調査法でも、何もないよりは何かデータがあったほうがいいと思います。それに比べると、世の中の「評論家」を名乗る人々は、何のデータも持たずに、言いたい放題のコメントをする傾向がありそうです。
 もう一つ、「夜の経済学」ではない話題ですが、第4章の p.129 では、大学のレベル(難関大学〜偏差値50以下)によって喫煙率が大きく異なり、難関大学の喫煙率は低く、偏差値の低い大学は喫煙率が高いことが書いてあります。これまた「だから何だ」と聞かれると困るのですが、オーツが長年の経験でうすうす感じていたことを、こうやってデータで示されると「あ、やっぱり」と腑に落ちるのです。
 こんなことで、第1章から第3章で「夜の経済学」がデータに基づいて語られますが、ここが読み応えがあるところと言えるでしょう。
 なお、p.54 では、「一人あたり県民所得は、地域により 12.9%(222万〜295万円)とばらつきが大きい」とあります。ばらつきをパーセンテージで表すというのは何でしょうか。一読してわかりませんでした。答えは p.84 で示されます。「変動係数」のことでした。しかし、こういう記述をするなら、変動係数の説明を p.54 でするべきだったと思います。
 そのような小さな問題点はあるものの、データに基づく記述という執筆方針を貫いた著者に拍手を送りたいと思います。週刊誌といえどもあなどれないですね。


posted by オーツ at 04:43| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする