オーツが読んだ本です。
世代間格差について書かれています。若者はひどい状況にあるということを説き、ではこれからどうするかということを論じます。
第1章「ますます拡大する世代間格差」で、30代と高齢者で6千万円以上の所得格差があることを説明します。
第2章「終身雇用が若者の未来を奪う」では、日本の会社の特徴を示し、ずっと一生一つの会社に勤務することを前提とすることでさまざまな歪みがもたらされていることを解説します。
第3章「「クビ切り」でなぜ若者の職が増えるのか?」は、一見して見えることと実際とが食い違うことを論じています。「定年延長」すると、若者の職が減ります。「パートの正社員化」でも若者の職が減ります。「有期雇用の規制」でも若者の職が減るのです。これらはみんな現在の日本で行われていることです。その反対に「クビ切り」で若者の職が増えるのです。このあたりに日本が生まれ変わるための鍵が隠れていそうです。
第4章「若者にツケを押しつける政治」では、民主党も自民党もめった切りです。政策がどう間違っているのかを説明しています。
第5章「社会に存在する虚構と“空気”」では、日本社会の特徴を描いています。若者の草食化、生活保護の急増、ホリエモンの収監など、さまざまな話題が出てきますが、それらを貫く原理として「空気」があるというわけです。
第6章「若者自身の責任」ということで、政治に参加しようとしない若者の責任を論じています。
第7章「これから」で未来への展望を述べます。
一読して、特に異論はないものの、著者が画期的な提案をしているわけでもなく、(そんなものがあり得るのかどうかも定かではありませんが)だんだん没落していく日本を淡々と記述しているようにも思えました。
改善の方向はわかるものの、政治の現実を見たら、とうてい日本が今後そちらの方向に向くとも思えません。どうにも閉塞感がただようしかないような気分になってしまいます。
どうも明るい話にはなりにくいようです。