歳を重ねると記憶が鈍って、しだいに人名が出てこなくなるという話は聞いていましたが、オーツは、自分自身でそういうことを経験して、驚くとともに変に納得してしまいました。
テレビで石原裕次郎の話をしていました。そのとき、そうそうこの人の兄貴は都知事をやっていて、石原……あれ? 名前は何だっけ? というわけで、下の名前が出てこなかったのでした。「太陽の季節」などを書いた作家で、子供は伸晃で、……などと関連事項は次々と浮かんでくるのに、肝心の本人の名前が出てこないのでした。
しばらく放っておいて、朝食の支度をしていたら、突然「慎太郎」だった! と思い出しました。
オーツはよく若い人に「そんなことも知らないのか」的な言い方をするのですが、これからはそういう言い方を慎まなければならないと思いました。
「慎太郎」の「慎」は「つつしむ」なんですね。あまりつつしまない人のようですが、……。