5000人もの人を対象にした疫学的調査の結果、どんな人が長生きするかというと、常識とは逆の結果になったということです。たとえば、以下のようなことです。
・やせている人よりも太めの人のほうが長生き
・総コレステロールは高めでもいい
・肉と魚は1対1で食べよう
・ときにはてんぷらや揚げ物を
というわけで、「豊かに食べて豊かに老いよう」(第6章)が結論になるわけです。
「50歳を過ぎたら、メタボ対策から老化対策へ」などの言い方もズバリ本質を突いています。
一読して、大変おもしろいと思いました。肉食老人がむしろ元気なのですね。
一つだけ気になったのは、p.49 で65歳以上の追跡調査の対象者を千人以上集めて、その人たちがその後8年間にどれだけ死んだかを調べています。たとえば、BMI の数値で対象者を太った人からやせた人まで4グループに分け、それぞれのグループの生存率を追いかけるわけです。明らかに、やせている人が早死にします。その調査では、対象者は同年齢集団ではありません。何歳までの人を調べたのか、明記してありませんが、80歳とかの人も混じっていると、そういう人はやせていたりすることが多く、「やせている人は早死に」ではなく、単に「超高齢者にやせ形が多い」だけかもしれません。
本書では、あちこちで年齢や性別の影響を除外して分析したことが書かれています。たとえば重回帰分析などをしたのでしょう。そんなことは本書中には書かれていませんが。
というわけで、データに間違いはないものと思いますが、オーツは気になりました。
p.46 では、健康長寿のさまざまな要因が書いてあります。「飲酒(適量)」はプラスで、「喫煙(吸う)」はマイナスです。「睡眠時間(長い)」もマイナスです。眠りすぎるとよくないというのもおもしろいです。オーツは、酒を飲み、煙草を吸わず、睡眠時間は短めですから、これを継続すれば長生きできるかもしれません。(いや、そんなに簡単な話ではありませんが。)
とにかく、豆腐や納豆(大豆タンパク)だけに頼らず、肉も(食べ過ぎないように)食べ、油も取り、あちこちに外出し、さっさと歩き、豊かな老後を迎えたいものです。「栄養、体力、社会参加」の三つが重要とのことです。
ラベル:新開省二