「あれ」では何だかわからないので、オーツが聞き返すと、妻は「ほら、そこにあるかくもの」といいました。
ん? 書くもの? メモ帳のことかなと思って、取って渡そうとすると、妻は「ちがう、ちがう、ボー、ボー」というのです。あ、ボールペンのことかと思って、それを渡そうとしたら、妻は「それじゃなくて、そこの長いもの」などというのです。
ん? 長いもの? あ、わかった。「孫の手」だ。背中がかゆくて、そこをかきたかったわけね。
「ボー」は「棒」だったわけです。妻は「孫の手」という名前がふと思い出せなかったのでしょう。
いやはや、とんでもない誤解をするものです。
夫婦がツーカーで理解できるなどということはありえません。それこそ誤解です。
ラベル:孫の手