2009年10月02日

神前悠太他(2008.12)『学歴ロンダリング』光文社

 オーツが読んだ本です。「楽して東大卒の学歴を手に入れる方法教えます」という副題が付いています。
 「おや?」と感じる標題ですが、タネを明かせば簡単です。東大以外の大学に入った人たちが、大学院の修士課程で東大を受験し、入学し、東大大学院修了者になればいいということが趣旨です。それを「学歴ロンダリング」と呼ぶところがすごい話です。著者の3人は、それを実践したということです。
 オーツは、文系の人間なので、本書に書かれていることに少し違和感があるところもありました。
 しかし、p.50 には「高学歴大学院といっても、文系院卒の場合は逆に学部よりも低評価になるケースが大半なので要注意です。」とゴシックで書いています。
 p.245 からは「東大でも文系院生の就職活動は地獄?」という話が書いてあり、これも同趣旨です。「文系院生」は「歳をとった学部生」なのかもしれません。
 たぶん、本書に書いてあることは正しいと思われます。つまり、本書でいうところの「学歴ロンダリング」は理系だけに当てはまるもので、文系には当てはまりません。
 「学歴ロンダリング」は本当にあるのでしょうか。
 オーツの知っている範囲は狭いですが、あまりないように思っていました。オーツは文系のことしか知りませんが、東大の大学院に入る人でも、内部進学者と外部進学者はかなり質が違うということを聞いたことがあります。そして、その後の他者からの評価で、東大の大学院を出たかどうかは、あまり関係なく、むしろ学部がどこだったかが重視されることがあるとのことです。もしも、企業などでもそんな見方が一般化すれば、本書でいうところの「学歴ロンダリング」はまったく成り立たなくなってしまいます。
 本書は、若い人が書いているのですが、企業人や公務員やさまざまな立場の人にたずねて、実際どうなのかをもう少し丁寧に探るといいように思いました。オーツの感覚では、学歴ロンダリングが成り立つ場合と成り立たない場合があると思います。
 なお、p.291 からの Chapter 7 「たとえ東大でも博士課程は茨の道?」は、基本的に正しいと思います。博士課程には進学しないほうがいいと思います。この章は、各種資料を使って正確に描かれているように思います。
 本書は、大学院進学を考えているような人には、かなり有用でしょう。
 水月昭道(2007.10)『高学歴ワーキングプア』
2007.11.5 http://o-tsu.seesaa.net/article/64584540.html
と合わせて読んでおくと、大学院に余計な期待をしなくて済むでしょう。


posted by オーツ at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする