オーツが読んだ本です。
おもしろい本です。今や「ブログ論壇」というのが誕生しているという見方です。
本書は、「諸君!」に連載された記事をもとに改稿したものです。全15章というのは、連載の各回に対応しているはずです。
第1章「毎日新聞低俗記事事件」では、日本人女性をおとしめた「毎日デイリーニュース」事件を描いています。ブログでたたかれたわけですが、それが、毎日jpから広告がなくなるほどの大きな影響を与えたことが興味深かったです。
第2章「あらたにす」では、朝日・読売・日経の三紙合同ポータルサイトがひどいと述べています。単に紙を寄せ集めただけで、ネットの特性を活かしていないということです。pp.40-42 で、ブログが新聞を凌駕するかどうかを論じています。一次情報を得るという面では新聞社は強みを持つけれど、「論考・分析」という二次情報の面で、新聞社は旧来の価値観に基づいたステレオタイプな切り口しかなく、どうしようもないとしています。ブログは、一次情報を自力で得る手段は持っていないわけですが、論考・分析では新聞を凌駕しているといいます。
第3章「ウィキペディア」では、ウィキペディアの記述の訂正に際して、訂正者の IP アドレスが公表されたところ、北海道庁などから自分の関連する記事を書き直したことがわかってしまったとのことです。さもありなんです。
それぞれの章が読みごたえがあるわけですが、要約であっても長くなるのでやめておきます。
一番重い問題を突きつけたのは第13章でしょう。ブログの言論責任は誰にあるのかという問題です。もちろん、書いた本人だと思います。ところが、そうではない事件がいろいろと起こっているのです。裁判で訴えるべきは、書いた本人でなく、サーバーの管理者だなどと考える人がいたりして、驚きます。
第12章のJJモデルの書いたブログが炎上した事件なども、ブログのあり方を考える上で参考になります。
全体として、興味深い話題が多く、自分でブログを書くような人は、一度目を通しておくといいと思います。
それにしても、本書にとりあげられた事例を知ると、ブログを書くことは大きな責任がともなうものだと改めて思いました。オーツは気軽にブログを(最初は mixi でしたが)始めましたが、いつ何時自分のブログが炎上するか、わかったものではありません。慎重に行動するべきところです。(このブログは、コメントが許可制なので、炎上しにくいとは思いますが……。)